こんばんは、運営メンバーの藤田です。

SUSONO1月のテーマ「住む」に関連し、「心の住処(すみか)」を切り口にコラムを書きました。

20代の頃の経験をもとにしているので、青臭く恥ずかしい部分もありますが…
ぜひご感想やご意見いただけると嬉しいです!

 

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弟と弟の彼女と3人で住んでいると伝えると、たいていの方に驚かれる。
いろんな事情が重なった結果の、ちょっと風変わりで愉快な3人暮らし。漫画週刊誌を回し読みしたり、海外ドラマを観てワーキャー騒いだり、穏やかな生活は4年続いた。


ある日、そんな我が家に新しい同居人がやってきた。

失恋した、私の女友達!

彼と同棲した家に居続けるわけにもいかず、バックパック一つでやってきたのだ。彼女と過ごしたなかで、「心の住処(すみか)」について考えたことを綴ります。

 


好きな人を探すには“漁場”が大切?

傷心の彼女は落ち込みながらも前向きに、超本気の婚活を始めた。
休日は
3人の男性と、それぞれランチ、お茶、ディナーを取り付け会いに行く。その合間に美容室やネイルサロン。スケジュール管理のビジネス書が出せそうなほど、分刻みで忙しそうに見えた。

 

しかし精力的に動いても、なかなか「好きな人」には出会えない。

彼女が会いたかったのは、フジロックと日本酒が好きな殿方。魚にたとえると“マグロ”としよう。ところが彼女は心の不安定さゆえ、ボディビルダーのようなマッチョな男性とトレーニングデートのあとプロテインで乾杯したり、ホストクラブで働く男性とパチンコデートをしたり(笑)、マグロではなく“タコ”や“イカ”がいる場所へも出向いていた。

マグロは遠洋で釣れ、タコやイカは磯で獲れる。タイプの男性に会えない…と帰ってきた彼女に、どの漁場に糸を垂らせばいいのか、狙って海に出ないとマグロは釣れないと我が家一丸となりエールを送った。


 

漁場は定めた!次は“糸を垂らす水深”

趣味が合う男性に狙いを定めた彼女。しかし思うようにラブは生まれない。「フジロックが好きな人に会ってお気に入りのミュージシャンの話をするんだけど、“いいですよね!”と言い合ったあと話が盛り上がらない」とのこと。

なるほど、こんどは水深の問題らしい。

マグロを獲るため船に乗り漁場へ出向いても、海の底に糸を垂らしていたら、そこにいるのは深海の生き物たち。マグロは釣れないだろう。

彼女が探しているのは、水面を眺めた時に「水面に光が反射して、キラキラきれいだね」と、似た感覚・価値観を持ち、同じ熱量で語り合える相手だ。

狙った漁場で、狙った魚がいる深さに糸を垂らす。私たちはこれを“漁場と水深理論”と呼ぶようになった。

 

 

ウナギイヌは、すごい

“漁場と水深理論”を編み出すに至ったほどトライ&エラーを重ねた彼女に、ついに恋人ができた!お相手は、フジロックへの参加経験はゼロ、日本酒も飲めない、でも仕事熱心で優しい男性。

「共有できる趣味」は少ないけれど、仕事への姿勢や会話のリズム、言葉のチョイスに惹かれ、相手を知りたい、私を知ってほしいというパッションが溢れてお付き合いが始まったようだ。一つ屋根の下に集うみんなで乾杯をした。

 

ここで私が思い出したのは、赤塚不二夫が生んだ人気キャラクター「ウナギイヌ」だ。


赤塚不二夫公認サイト「これでいいのだ」より引用。(C)赤塚不二夫

 

ウナギイヌは、イヌの父がウナギの母に一目惚れし、周囲の反対を押し切って異種結婚、そして誕生したという出生エピソードを持つ。ウナギイヌの父は“妻のために半分が水の中に沈む家に住む愛情深い夫”という設定だ。

 

なんて自由でロマンチックな話だろうと、初めてこのエピソードを聞いた時に感激してしまった。住む場所が違っても、私たちはバタ足をしたり素潜りをしたり、はたまたウナギイヌのように半分水に沈む家に住むなんて工夫をしたりして、いろいろな場所で生きる人と一緒に笑い合うことができる。

 

心の住処(すみか)も同じだ。恋愛となるとハードルが高いが、人生を歩んできた“精神的脚力”を使い、漁場も水深も自由に行き来できる。

実際、恋人探しに励んでいた彼女は先述したボディビルダーのごとき男性とプロテインで乾杯し、ホストとパチンコデートをして帰ってくると、ラブが生まれなかったことを嘆きながらも面白おかしく彼らの世界を私に語ってくれた。彼女はすべての出会いを楽しんでいたと思う。そしてそういった経験があったからこそ、視野が広がり新しい恋が実った。

 

最近SUSONOの活動を通しいろいろな方とお話する機会に恵まれ、前よりも一層、私はウナギイヌに感じ入っている。

たしかに漁場と水深が同じ=同じような立場で、似た価値観を持つ人の存在は尊く、話すと安心して救われる。でも一方、漁場と水深が同じ方とばかり付き合っていては、世界が狭まる不安を感じるのも事実だ。

 

心の住処(すみか)は自由だ、ウナギイヌよろしく陸や川を行き来しよう。
あちこちに住んでいるSUSONOのみなさんと、ゆるく繋がるワクワクを込めて筆を置きます。



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藤田華子

1987年、栃木県出身。立教大学卒業後、株式会社ロッキング・オンにて音楽雑誌の編集を担当。
2014年にRIDE MEDIA&DESIGN株式会社入社。
コンテンツマーケティング、広報、佐々木俊尚「
LIFE MAKERS」のコミュニティ運営を務める。