狩猟採集の時代の工夫から土器作りが始まったのではないか?という所から物語はスタートします。(例えば栃の実はお湯で1時間煮込まなければ毒素が分解されず食べられない)
今まで食べられなかったものが食べられるようになる、ということは自然と土器に神を感じるようになったのではないか?という仮説。
絵付の工夫から(線を真っ直ぐ書くために)ロクロが生まれた、という話。
そのロクロの回転を応用して車輪が考案されたという話。
これはまだまだ序盤の話なのですが、
陶磁器の発達の歴史を追うことによって人類史も浮かび上がってくるという壮大なドキュメンタリーになっています。
とにかくあらゆる場面が「へえ、そうなんだ!!」の連続で目から鱗が落ちてばかりでした。
器が好きな方にとっては断片的な知識が全て一本の線に繋がる、という快感を得られるのではないかと思います。
[木や草を使った蒸し焼きによる原始的な土器の作成→専用の窯を作ることによる温度の上昇、より硬い焼成が可能に→二段窯の登場、更なる温度の上昇→青銅器の登場(一時的な陶器の停滞)→釉薬を使った陶磁器の登場→登り窯の考案、中国で白磁器の登場(陶磁器の盛返し)→エジプトでコバルトブルーの磁器の登場→白磁とコバルトブルーの融合、景徳鎮の隆盛→ヨーロッパの景徳鎮への憧れと、マイセンの登場]
人類の色·造形への憧れは留まることは無く、欲望とそれに伴う苦難と努力の歴史を眺めたあとは、きっと器への見方が少し深いものになると思います。
【ポレポレ東中野】
今月いっぱい(2月は未定)
【ヒューマントラストシネマ有楽町】
1月14日(木)まで
上映していますので気になった方は見に行かれてはいかがでしょうか!