年明けより本格的に「SUSONO本」の制作に着手しているが、その際に「そもそもワラさんは何で本をつくっているんですか?」という質問を頂く機会が増えた。
それを話すとなると、生い立ちから語らなければいけない(!?)のだが、そんな暇も無いので今回はかいつまんで、特に自分の出版史に影響を与えた本を取り上げてみようと思う。その本の名は「月刊群雛」(げっかんぐんすう、と読む)である。

◇群雛ポータル

https://www.gunsu.jp/p/magazine.html

「月刊群雛」は2014年1月に創刊された電子雑誌である。前年に発足した日本独立作家同盟(現:NPO法人HON.jp)が発行母体であり、そのコミュニティに参加する作家・編集者・イラストレーターが協力しあいながら、発行される月刊誌だった。
と、ここまでは一般的な本(商業にしろ同人にしろ)のつくり方と大して変わらないのでは? という感じである。他の本たちとは異なる特徴というのは、「参加するためのハードルが極めて低い」という点だ。それは以下の3つにまとめることができよう。

① 巧拙は問わない
月刊群雛で重視されたのは「書き手のやる気」だった。故に、その段階では下手っぴでも、本づくりに参加し、編集担当とのブラッシュアップを経ることで、作品と作家本人がレベルアップすれば良しという考え方だった。

② 早い者勝ち
「やる気重視」の要素はこういうルールにも表れている。編集長が原稿の募集を開始したら、速やかに「今号に参加します」と書き込みをする。たったこれだけで、原稿の雑誌掲載は確定するのだ。

③ ジャンル不問
一般的に文芸誌というと、「SF」やら「恋愛」やら「歴史」やらとジャンルによって区切られており、それに基づいて本の制作が進められる。ところが、月刊群雛は作家が原稿を用意していて、かつよほどの公序良俗に反する内容でなければ何でも掲載できたのである。また、読む側としても、未知のジャンルを知る良いキッカケとなった。

さて、そんな月刊群雛に僕が参加したのは2014年11月号からだった。参加前はブログで、スポーツエッセイをせっせと更新していた。「こんなに記事を沢山書いたのだから、何か別のかたちで世に発表できないだろうか」。そんな思いを抱え、いくつか方法を探っていたときに、偶然目に入ったのが日本独立作家同盟(のGoogle+という今は亡きマイナーなSNS内のコミュニティ!)だった。

月刊群雛を無理やりカテゴライズするのであれば、小説中心の文芸誌である。体育会系のスポーツエッセイを書くのは僕だけだった。普通の雑誌であれば、場違いだということで弾かれていただろう。
だが、月刊群雛はゆるかった。競馬場での思い出を記した原稿は何の問題もなく入稿できたし、数日後には赤入れされたものが返ってきた。ここで頑張れば、僕の表現の幅は広がると確信した。そして、雑誌に参加している作家や関係者から、作品を「面白いね」と言われてとても嬉しかった。そう言われると義理が湧いてしまうもので、僕も真剣に他の作家の作品を読み込み、ブログにレビューを書き続けた。良い循環の中で、僕の創作環境は整えられていった。

だが、「ゆるさ」は苦労も発生させた。参加者や編集作業のクオリティ維持、ジャンルが無い故の売上低迷、制作体制の金属疲労……。様々な要素が重なった結果、2016年8月号をもって月刊群雛は休刊という運びとなった。
休刊時、自分は少し月刊群雛と距離を置いていた。当時は書くことはできたが、「編集をする」とか、「表紙をつくる」といった他の役割だと、参加するだけの水準に達していないと思った。なので、手助けをすることに気が引けていた。もしもスキルと自信があったら、どういう貢献ができただろうか。その思いは今も胸に去来する。

雑誌の歴史は途絶えた。だが、月刊群雛のお陰で、僕は今も本をつくりつづけている。また、日本独立作家同盟はNPO法人となり、現在はHON.jpと改称して、様々な創作支援活動をしている(僕もそのメンバーの一人だ)。
月刊群雛で出会った人たちとは、現在も仲が良い方もいれば、ケンカ別れになった方もいるし、行方不明になった方もいるし、残念ながら鬼籍に入られた方もいる。ただ、どんなかたちであれ、月刊群雛に参加した方々とは、今も「本」を通して繋がっている感覚が残っている。

……と、長くなり過ぎた思い出話を書いて、気がついた。
今つくっている「SUSONO本」というのは、「月刊群雛」に似てきているな、と。

広く門戸を開き、連帯と協力の下で、一つの作品を作り上げる。その完成した本を基点とし、参加者/関与者たちと細く長く繋がり続ける。「月刊群雛」というコミュニティは、SUSONOとの共通点が多く、さらにこれから運営する上でのヒントが詰まっている。
そして、「本」という実体のあるモノが無くなったとしても、そこにしっかりとしたカルチャーが根付いていれば、誰かが受け継ぎ、再び「本」として生み出せることができる。僕が「SUSONO本」で描こうとしている未来というのは、そういうところにあるのだ


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そんなわけで、当方が参加した月刊群雛からおススメの号をピックアップして〆たいと思います(宣伝)


◆『別冊群雛』2015年02月発売号(1周年記念号)
https://www.gunsu.jp/2015/01/GunSu-201502ex-launched.html


◆『月刊群雛』2015年07月号

https://www.gunsu.jp/2015/06/GunSu-201507-launched.html


引き続きSUSONO本プロジェクトをよろしくお願いいたしますm(_ _)m

https://susono.life/groups/791745427898


◇SUSONOで「本」をつくるにあたって(こちらも外部公開記事です)